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コアガラスの器ー佐藤透

特集!コアガラスの道具・第7回 手



私の手はとても勤勉です。右手と左手はほぼ完全に分業しています。左手は縁の下の力持ちのように仕事を支えています。
芯のついた棒は意外に重く、これを作業に合わせて回し続けるのはけっこう大変です。これは左手の仕事です。
この作業の負担は手だけでなく、手首、肘、肩にもかかります。大きめの作品や手のこんだものを作り終えた後はアイシングして痛みを和らげています。私の作品は肉厚が薄くて、こった装飾が特徴ですが、薄手で思いどおりの装飾をするには、台に置いて作るよりフリーハンドの方が優っていると信じてやっています。
右手はガラス棒やピンセットの先でガラスの軟らかさの変化を感じながら細かい作業をしています。それができるのも左手がぐらつかずに適当な位置を確保し続けているからです。

私の手はひらは大きく指が短い手です。両国駅には関取の手形が飾られていますが、比べてみたら手のひらだけは同じくらいありました。自身すこし驚きました。
指は短くても作るときに不自由はありません。けれども磨きをしているとき、グラスの縁とかが指の叉にあたって血をにじませては、もう少し長かったらなあと嘆いています。

美術館で器を観るとき、横にまわったり、下の方から、また伸び上がってのぞきこんで形をとらえようとしています。ギャラリーでは器を手に取らせて下さったとき、見ていただけではわからなかった手の中での納まりや感触に感動が湧きあがることがあります。
見て、触れて楽しむ、それが工芸の魅力です。
どうぞ展覧会に足を運んで、そんな体験をしてください。もちろん「なあんだ」ということもありますが、当たりはずれも楽しみのうちです。

道具のシリーズは今回で最終回です。
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特集!コアガラスの道具・第6回 ガラス その2

第6回 ガラス その2
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コア(芯)に巻くガラス棒も装飾につかうレース棒、パーツを作るための棒や断面が模様になっている棒など、すべて自分で作ります。
棒の利用の仕方によって太いもの細いものと使いわけます。
コアに巻くガラス棒の基本の太さは直径3mm弱です。前回紹介した市販のガラス棒を細く引きなおします。
端から端まで同じ太さで真っすぐな棒を引くにも技術が必要です。

レース棒というのは透明なガラスの中に白や黒の線が撚(よ)られてレース模様に見える棒や、表裏色の違うリボンを撚ったようにみえる棒をいいます。透明なガラスの間に白や黒の細い棒をはさんで、ねじりながら伸ばしたり、透明ガラスのまわりに細いガラス棒を間をおいて並べ、ねじりながら伸ばすとレース模様のようにみえます。

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実際にはポンテと呼ばれる2本のガラス棒の間に熱してやわらかくしたガラスをつけてガラスがやわらかい間に一機にねじりながら伸ばしてつくります。

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ベネチアのレースガラスが良く知られていますが、コアガラスではずっと細くて、こまかなレース模様の棒が使われています。

特集!コアガラスの道具・第6回 ガラス その1

第6回 ガラス その1
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コアガラスはたくさんの色を使うことが比較的自由にできます。色彩に興味があって様々に色を組み合わせることが好きな私にはコアガラスを探求していくことの魅力のひとつです。

ガラスの色は原料に含まれる金属で変わります。「金属を炎で焙って、その時に出る色がガラスの色」と東京ガラス工芸研究所で壺谷先生に
教わりました。理科の授業で教わった金属の炎色反応をご記憶の方も
いらっしゃるでしょう。
色ガラスはガラス棒で市販されているものを使っています。色数は70〜80あります。私はこのガラス棒を混ぜて自分の色を作っています。数えたことはありませんが数百色になると思います。

色の組み合わせ方で作品の雰囲気はずいぶんと変わってきます。北澤美術館での展覧会ではそこも見ていただけるように構成してみました。
画家、染色家、学芸員と専門家の方々から色彩感覚をほめていただくことが時々あります。少し自慢です。話が横道にそれてしまいました。
次回はコアガラスを作る時のガラス棒やレース棒についての話です。

特集!コアガラスの道具・第5回 芯(コア)

第5回 芯(コア)
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コアガラスという技法名の由来となった芯(コア)についての話です。
コアガラスは細いガラス棒をバーナーでとかしながら芯にまきつけるようにして作られます。
芯はスチールウールと耐火石膏を使って作っていますが、あるガラスの本で紹介されていたものは家畜の糞にワラを混ぜ込み、鉄の棒の先に固めて乾燥させたものを使っていました。初期の頃はこうやってつくられていたのかもしれません。

芯にガラスが2mm程肉づけされたのが器になりますから、器の良し悪しはこの芯の形の出来、不出来に左右されます。形のデザインが決まると、手作りのろくろで芯を作ります。芯は一度きりしか使えないので、器をつくるたびごとに芯も作ります。
ろくろには芯を真二つにした形に切り取られた板がついています。これを使うことで、同じ大きさの芯をいくつも作ることができます。と言っても一日に作れる芯の数はせいぜい4、5個です。
作品の中には面取りされた形や輪花といって、かぼちゃに似た形のものもあります。これらは芯の形も面取りであったり輪花であったりします。蓋物の蓋も芯を作って制作しています。

特集!コアガラスの道具・第4回 ピンセット

第4回 ピンセット
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使っているピンセットは3種類。先がとがった2種は葉や動物のパーツ
作りと器につける時に使います。平たいピンセットは金太郎飴のように模様が入った棒状のパーツ(ミルフィオリ)用です。ミルフィオリは
イタリア語で千の花。色ガラスが同心円に何層か重なった棒でまわりはストライプになっています。短く切ってつけるとつぶれて周りのストライプが広がって花びらのようにみえます。

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ミルフィオリ棒を使い、葉や花びら一枚々々や動物のパーツを作ります。
棒の先をバーナーで温めると球状になります。それをピンセットの腹ではさんでつぶすと棒の先に円盤ができます。これを温め直しピンセットの先でつまんでひっぱり形をつくっていきます。

他にも幾種類かのピンセットを買いましたが、この3種類が残りました。

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■ プロフィール

佐藤 透

Author:佐藤 透
コアガラス作家

■ 年間スケジュール

2019年
3月 ギャラリーフクタ(玉川学園)
5月 ギャラリーカワモト(富山)
7月 日本橋三越(東京)
11月 横浜高島屋(横浜)

■ 展覧会

次回は3月16日からギャラリーフクタです。(町田市玉川学園)

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